自分の世界観をもって世の中へ羽ばたく
KASEI(家政)からSEKAI(世界)へ

東京家政大学附属女子中学校・高等学校

JR十条駅から徒歩5分の場所にあり、都心にキャンパスを構える東京家政大学附属女子中学校・高等学校。併設の東京家政大学と約9万㎡の広大な敷地を共有している。歴史と伝統を誇る堅実な校風が特徴で、近年はIB(国際バカロレア)教育の導入や中高大連携の強化など、学校改革を積極的に進めている。


自分の心の世界を大事にして外の世界に大きく羽ばたく

建学の精神「自主自律」と3つの生活信条「愛情・勤勉・聡明」のもと、世界で輝く女性を育てている東京家政大学附属女子中学校・高等学校。学園創立142年目を迎える伝統校だ。着任して3年目になる大澤力校長がこう説明する。

「教育目標をわかりやすく伝えるために、生徒たちには『地に根を張り、天に翼を拡げる』という言葉を使って説明しています。この言葉から、内面的な部分を強固にして、外へ向かって発展していくことをイメージしてほしい。木はしっかりと大地に根を張れば、風が吹いても倒れません。そして、鳥のように天空に向かって大きく翼を拡げて成長してもらいたいと思います」(大澤校長)

「生涯学び続ける人」を育てるために導入されたのがIB教育だ。IBの掲げる10の学習者像(「信念をもつ人、思いやりのある人、探究する人、知識のある人」など)は、東京家政大附女子の教育理念にも重なる。2019年10月にはIBの中等教育プログラムであるMYPの候補校に認定された。現在は認定校になることを目指して、体制を整えている。

また、アフターコロナを見据え、海外研修や留学プログラムを本格的に再開する予定だ。

「中3と高1の保護者向けに海外留学の説明会を開催したところ、予想をはるかに超える80組が参加しました。本校のグローバル教育への関心の高さを感じました。また、今年の3月には本校の教員をカナダとニュージーランドに派遣しました。現地のIB校と提携を結ぶことで、本校のIB教育も発展させたいと考えています。"KASEIからSEKAIへ"を体現していきたいです」(大澤校長)

教育・施設面において中高大連携を推進

附属校というメリットを生かし、東京家政大との連携をさらに進めていく。教育面では、大学の教員による保育の授業を中高でも実施。さらに、東京家政大に進学したOGが在校生に向けて所属ゼミの内容をプレゼンテーションするなど、積極的に交流している。

施設面では、大学のグローバル教育センターと連携し、国際交流のノウハウを共有。また、大学の図書館も中高生が利用できるようになる予定だ。

受験生や保護者のニーズに沿って学校を改革

ICT環境を整備するために、9階建ての新棟の建設を計画している。博物館や学生ラウンジ、多目的ホールのほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)教育を推進する学習空間など、最先端の施設・設備を整えるという。25年夏に完成予定だ。

現在、生徒は授業や実験など、さまざまな場面でタブレットを活用している。ただ、大学ではノートパソコンを使用することが多いため、中高でもノートパソコンへの切り替えを進めている。ラーニングコモンズでもタブレットのほか、ノートパソコンを使えるように整備。今後、授業にも積極的に活用していく。

一方、クラス制からコース制への見直しも進んでいる。現行のクラス制から、より細かな進路希望に応えられるコースに改革する予定だ。

“KASEI”の学び。同校の学びについて、大澤校長に聞いた

同校の学びについて、大澤校長に聞いた。「学力を担保しながら人間性もしっかり育てていくのが本校の教育です。そのために、IB教育や探究学習、キャリア教育に力を入れています。探究学習ではSDGs(持続可能な開発目標)をテーマに組み込みながら、田植えを体験したり、房総半島を訪れてさまざまな生き物に触れたりしています。誠実で素直な生徒が多く、本校の学びをきちんと受け止めて、自身の成長につなげています」

また、中学には同大学卒業の栄養教諭によるスクールランチ(完全自校給食)があり、食育に力を注いでいる魅力も大きい。

最後に、受験生や保護者にこうメッセージを送る。

「本校は都会にありながらホッとできるような温かい学校です。ぜひ学校説明会などに参加して、学校の雰囲気や教育内容を知ってほしいと思います」(大澤校長)

取材日:2023.4.11