創立141年を迎える伝統校
日本一・世界一の女子学園を目指し、次の時代を作る教育を展開

東京家政大学附属女子中学校・高等学校

JR十条駅から徒歩5分の場所に位置する東京家政大学附属女子中学校・高等学校。併設大学の東京家政大学と、約9万㎡の広大な敷地を共有している。歴史と伝統を大切にしながら、IB(国際バカロレア)教育を導入するなど、新たな取り組みに挑戦している学校だ。


国際バカロレア中等教育プログラム(MYP)の教育モデルを実践

東京家政大学附属女子中学校・高等学校は、建学の精神「自主自律」と三つの生活信条「愛情・勤勉・聡明」を教育の柱としている。学園創立141年目を迎え、これまで培ってきた教育をさらに発展させるために行っているのがIB教育だ。

IBは生徒の年齢に応じて、四つの教育プログラムを提供している。その中の一つであるMYPは、11歳~16歳までを対象としており、8教科(言語と文学、言語の習得、個人と社会、理科、数学、芸術、保健体育、デザイン)を学習するプログラムだ。

東京家政大附属女子は、2019年10月にMYPの候補校に認定された。IB教育の枠組みを利用して、協働スキルや情動スキルなどのATL(学びの方法)と呼ばれるスキルを習得し、「探究→行動→振り返り」の学びのプロセスを重視した教育を行っている。大澤力校長(大学院研究科長・大学教授・教育学博士)がこう話す。

「中学校の3年間は、基礎学力を定着させることに加え、自分の人生を生き抜く力を育てるための人間教育に力を入れていきます。IBの教育方針は、本校の建学の精神や生活信条、そして新学習指導要領の趣旨とも合致します。本校では探究学習と組み合わせてIB教育を実践していますが、発表などを通して生徒の表現力が高まってきたと感じています」

ICT(情報通信技術)教育の強化と高大連携の推進

学園全体で取り組んでいるのがICT環境の整備だ。現在、中学校の校舎の隣に創立140周年を記念する建物を建設する計画を立てており、この建物は、東京家政大学の歴史を学べる博物館と、ICT拠点としての機能をあわせもつ予定だ。3年後の25年春完成を 目指している。

一方、授業では情報科の教員を新たに採用し、プログラミング学習を実施。これからの社会で求められる資質や能力“21世紀型学力”を身につけるために、学びの内容を深めている。

また、東京家政大学のグローバル教育センターとの連携を深め、大学の教員の中学校・高校への関わりを強化していく。教育の中身も厚くなり、附属校としてのメリットがより明らかになる。

併願制度の導入で、大学進学実績が好調

生徒をよりきめ細かく支援できるように、職員室の構成や学校組織の仕組みを変更した。さらに、保護者教育にも力を入れている。具体的には、教育や心の問題に関して東京家政大学の専門家が講演を開催。生徒だけでなく、保護者のさまざまな悩みも学校全体で受け入れている。

大学進学については、東京家政大学への内部進学制度と、22年度入試より導入された併願制度がある。東京家政大学への進学が保証された状態で他大学を受験できるため、最難関大学への挑戦がよりしやすくなった。

「東京学芸大や千葉大、東京海洋大、国立看護大学校などへの合格者が出ました。生徒の可能性を広げて挑戦できるように、今後も学校の仕組みを整えていきます」(大澤校長)

IB教育の導入、生徒や保護者へのフォロー体制の強化、大学入試における併願制度の開始などにより注目を集め、22年度入試では、中学校で志願者・入学者、高校で単願者の数が増加した。

最後に、大澤校長が受験生や保護者にこうメッセージを送る。

「現代はあらゆる要因により社会情勢が落ち着かず、不安定な時代になっています。しかし、そうした時代であればあるほど、最後に残るのは教育だと思います。本学園は1881年の創立以来、女性の教育に力を注いできました。今後は次の時代に向けた教育をさらにパワーアップさせて、150周年を迎える頃には日本一の学校になれるように努力していきます。 皆さんには、ぜひ、その仲間に入っていただきたいです」

取材日:2022.4.22