「カリタスらしい探究学習とはなんだろう」
生徒とともに模索しながら作り上げる共創の教育

カリタス女子中学高等学校

英語とフランス語の複言語教育で多角的な視野を持つ真の国際人を育成

カナダ・ケベック州のカリタス修道女会を母体に創立されたカリタス女子中学高等学校。創立以来、カナダの公用語である英語とフランス語の複言語教育を行い、「グローバルな視野を持ち共生社会を作り上げる人間」の育成に力を注いできた。2言語を学ぶグローバル教育について、グローバル推進部の島直子先生に話を聞いた。


グローバル教育の一環として、英語とフランス語の複言語教育を行うカリタス女子中学高等学校。外国語を、「世界に向けて開く“窓”」と表現する同校には、英仏の2言語を学びながら、世界へと視野を広げていく絶好の環境がある。同校のグローバル教育について、グローバル推進部の島直子先生がこう説明する。

「グローバル教育というと、英語一色になりがちですが、世界で話されている言葉は英語だけではありません。本校で英語とフランス語の2言語を学ぶことで、外国の異なる文化を知り、視野を広げてほしいと考えています。校内で他の外国語を耳にする機会も多く、多様な価値観や表現があることに自然と気づくことができる環境も本校の特色です」

島 直子 先生

グローバル教育と複言語教育がリンクする多彩なプログラム

英語については、中学では週6時間の少人数授業を実施。ネイティブ・スピーカーの教員による会話中心の授業を取り入れながら、英語の4技能を高めていく。高校では、2022年度から英語が得意な生徒向けのEIPクラスを設置。高2終了時に英検準1級の取得を目標に、大学入試や大学入学後の授業にも対応できる高い英語力を育成している。

また、中学では週2時間のフランス語の授業が必修だ。中1はフランス語を初めて学ぶ生徒と既習生を分けた少人数制で学ぶ。高校でフランス語を第1外国語として選択するコースもあり、例年10〜20人が選択している。

授業以外で、外国語を使って自分の意見を発信するプログラムを数多く用意していることも特色の一つだ。学外の体験型英語学習施設で、英語を使ったアクティビティを行うTGG(TOKYO GLOBAL GATEWAY)プログラム、キャリア教育の一環として実施している、日本や海外で活躍する女性を招くグローバル・リレー講演会、約30か国の留学生と交流するGVS(Global Village for Students)プログラムなど多彩なプログラムがある。

また、英語とフランス語の学習成果を発表する外国語発表会は、40年以上続く伝統行事だ。英仏のクイズや絵本の暗唱、人形劇などさまざまなテーマで開催している。中3の探究活動「i-Time」の成果を、英語とフランス語でプレゼンテーションする場にもなっている。

海外研修のプログラムも充実している。同校のルーツをたどるカナダ研修のほか、マルタ研修やセブ島研修、3ヵ月のターム留学、1年間の留学プログラムなどがある。昨年から、現地のカトリック校と交流する台湾研修がスタート。台湾に来ている留学生と英語で行うフィールドワークもあり、生徒には好評だ。この他、フランス語を学んでいる高校と、フランスやニューカレドニアで日本語教育を行っている高校のネットワーク「コリブリ」による交換留学もある。島先生がこう話す。

「在学中に1回は海外を体験してほしいと考えています。海外研修への問い合わせは年々増えており、関心が高まっているので、プログラムをさらに充実させていく予定です」

多種多様なグローバル教育プログラムで培った語学力をツールに、世界を視野に入れて将来の目標を決める生徒が増えているという。関心が高まっている海外大への進学についても、サポート体制を整えている。

最後に、受験生や保護者に向けて、島先生がこうメッセージを送る。「外国語に興味がある生徒が伸びやかに、その気持ちを思う存分に生かしながら、外国語の勉強ができる学校だと思います。英語を伸ばしたい生徒はEIPクラスで高い英語力を身につけられますし、他の外国語や文化に興味がある生徒も、関心を高められる多彩な学びがあります。世界に目が向いている受験生の皆さんにはぜひ入学してほしいと思います」

TEACHERS VOICE

左からバルバラ・ボード先生(フランス語)|イアンノッタ・アイヴァン先生(英語)|ジーナ・堀川 先生(英語)

―授業で心がけていること、生徒の様子などを教えてください。

ジーナ 高2のEIPクラスの授業はすべて英語で、一般クラスよりハイレベルな内容になりますが、一方通行のレクチャースタイルではなく、生徒が主体的にディスカッションやアクティビティに取り組む授業を心がけています。中1の生徒は英語を話したい気持ちが強く、知っている単語を並べて積極的に話そうとしますが、高学年になるとあまり話さなくなる傾向が強まります。しかし、コミュニケーション力を身につけてほしいので、授業のウォームアップで、自分の好きなことを話してもらうなど、なるべくアウトプットする機会を設けるようにしています。

バルバラ 初めてフランス語を学ぶ生徒が多いので、中1では既習生と分けて授業を行っています。中2からは一緒に学び、グループワークやペアワークなどにも取り組みます。授業では楽しく会話できるように心がけていますが、自分が考えていることを言葉で伝えることが苦手な生徒も多いようです。そんなとき、授業中に言っているのが「フランス人は自分の意見を述べることが一番大好きな趣味です」ということ。「フランス人のように、自分の意見を言ってみましょう!」と提案すると、少し堅苦しさがなくなり、話しやすくなるようです。

アイヴァン CEFRレベルB2以上の英語で行われる高2のEIPクラスの授業では、アウトプットとコミュニケーションに重点を置いています。私はファシリテーターの役割を担い、ペアやグループで活動する生徒と一緒にグローバルかつ社会的な関心がある幅広いトピックに取り組んでいます。生徒にはできる限り自分の学習に責任を持ってもらいたいと考えています。内向的な生徒は少し不安を感じるかもしれませんが、よりチャレンジすることを求めています。また、授業では「間違い」という言葉を使わず、「学びの機会」と捉えています。生徒が自由に探究し、体験し、英語を使ってクラスメートと協力する中で、成長できる安全な場所があるということを、生徒たちに伝えながら授業を行っています。

―カリタス女子の魅力について。

ジーナ 今の時代、英語を学ぶだけでは不十分で、海外では2言語が当たり前、3〜4言語を習得している人も多いです。ですから、日本語と英語に加え、三つ目のフランス語が学べるカリタス女子の環境はとても魅力的です。ネイティブ教員が揃っているので、手厚いサポートも受けられます。

バルバラ フランスの教育システムで学んだ私には、少し過保護かもしれないと思うほど生徒のことを第一に考えている学校です。大事にされていることを生徒たちも気づいているのでしょう、学校に遊びに来る卒業生はとても多いです。みんな、カリタスのことが大好きなのだと思います。

アイヴァン カリタスに来てまだ数か月ですが、この学校の教育理念は明確です。授業のほか、マルグリット祭や体育祭など、生徒のあらゆる行動に表れています。生徒たちは、グローバル化した世界において異文化理解が重要なことにも気づいています。学ぶ意欲が高く、探究心や好奇心が強いことは、カリタスの生徒たちの最も印象的で刺激的な特徴の一つです。

取材日:2024.9.19