世界を生き抜く力をつける
「櫻イノベーション」のグローバル教育

日本大学櫻丘高等学校

「櫻イノベーション」をスローガンに、学校改革を推進してきた日本大学櫻丘高等学校。今年はセカンドステージ3年目を迎え、特に「体験型高大連携教育×サイエンスリテラシー」に力を入れている。各取り組みの特徴について、広報部主任・井部和正先生と、同副主任で生物科の石原裕介先生に話を聞いた。


「櫻イノベーション」は、2019年にスタートして以来、アップデートを重ねてきた。現在は「グローバル教育×ダイバーシティ」「アクティブラーニング×教育DX」「体験型高大連携教育×サイエンスリテラシー」「クリティカルシンキング×プレゼンテーションリテラシー」「ルーブリック評価×PDCA」の5つのイノベーションを柱とし、生徒自身の自己改革を促し、日々変化する社会に適応する素養を育んでいる。

櫻イノベーションが始動した当初との違いについて、石原先生がこう話す。「『ルーブリック評価』が新たに加わったことで、サイエンスリテラシーなどのプログラムにおいても、生徒自身が自分で考えて、振り返るという機会が増えたと思います」

井部先生がこう続ける。「本校の特徴や魅力が受験生に伝わり、『付属校だから』ではなく、『櫻丘高校だから』と志望する受験生が増えました。特徴的なプログラムを受けたくて志望する受験生もいます。モチベーションの高い生徒が多く、進学実績も好調で、GMARCH以上の大学合格実績が伸びています」

広報部主任|井部 和正 先生

体験型高大連携教育によりミスマッチのない進路選択

櫻イノベーションの中で今、もっとも力を入れているのは「高大連携プログラム」だ。主に、隣接する日本大学文理学部との連携により、地の利を生かしたプログラムを実施。さらに、日本大学のスケールメリットを生かし、幅広い学問領域を体験するプログラムも用意している。

1年次では、各生徒が希望の学部を訪問し、施設や研究室の見学、説明を受ける「学部訪問会」を実施。また、大学の授業を大学生と一緒に受講し、日本大学入学後に卒業単位として認定される講座もある。法・文理・経済・商学部の授業が対象だが、特に文理学部は通学の時間がかからず、気軽に通うことができる。さらに、大学の教員による出張講義もあり、早期からキャリア観を育成している。

井部先生がこう説明する。「日本大学は16学部86学科を擁し、ほとんどの学問分野を網羅しています。日本大学を目指している人はもちろん、まだ進路が定まっていない人でも、日本大学を入り口として、大学の学問を見比べることができます。たとえば、同じ数学科でも理工学部と文理学部とで、それぞれのアプローチの違いや研究内容を深く知ることで、入学後のミスマッチを防げます。以前は、高大連携プログラムを利用するのは、積極的な生徒だけに偏っていましたが、最近では、学校全体で行事として実施することで、多くの生徒に刺激を与えることが可能になりました」

このほか、大学の施設・設備が使用できることも、他校にはない特権だ。カフェテリアをはじめ、図書館、ラーニングコモンズなどを気軽に使うことができる。また、文理学部の学生に勉強を教わるチューター制度もあり、日常的に大学生活を味わうことができる。

広報部副主任・生物科|石原 裕介 先生

高度な実験ができるサイエンスリテラシー

サイエンスリテラシーは、3年生の理系選択の生徒を対象として、定期的に行っている授業だ。物理・化学・生物・地学の中から各自が興味・関心のあるテーマを選び、グループごとに生徒主体で研究活動を実施。研究結果はポスター発表を行い、将来、大学の研究発表でも生かせる学びを体験する。石原先生がこう話す。「実験のテーマによっては、文理学部の高度な実験装置や設備を使用することができます。生徒には、実験でトライ&エラーを繰り返すことを大切にしてほしいと伝えています。失敗したら、なぜ失敗したのか、どこが悪かったのか、どうしたら成功するか想像力を働かせるなど、ルーブリックの『スキル領域』を意識して学びとってほしいと思っています」

文理学部だけではなく、日本大学の他学部の施設・設備も使用することができる。他の高校ではできない、恵まれた環境だ。「生徒たちは楽しんでサイエンスリテラシーに取り組んでいます。その影響からか、通常の授業への興味・関心が高まり、積極的に質問に来る生徒が増えました」(石原先生)

このほか、希望者を対象に、日本大学文理学部次世代社会研究センターRINGSと連携した探究活動も実施。文理学部の学生や有名企業、自治体の人々との探究活動を体験できる貴重な機会だ。

最後に、受験生に向けて、先生たちが、こうメッセージを送る。

「目の前に併設大学があって、雰囲気を肌で感じることができ、高度な学問も体験しながら3年間を過ごせるのは、他校にはない環境です。しかも、日本大学のスケールメリットを活用することで、自身の将来への視野が広がります。やりたいことがまだ見つかっていない人にこそ、おすすめの学校です」(石原先生)

「櫻イノベーションのルーブリックのテーマは、学力というよりも、社会に出た時に必要な価値観、スキルです。自分の強みを一つでも多く伸ばして、充実した生活、楽しい人生を送れる人に成長して、社会に出てほしいと願っています。今はまだ目標が定まっていなくても、いろいろなチャンスを準備しているので、ぜひ積極的に活用して欲しいと思います。やる気にあふれた人を待っています」(井部先生)

取材日:2024.9.19