校訓「九転十起」を体現する学校行事
生徒が主体的に運営し、大きく成長する

浅野中学校・高等学校

校訓「九転十起」を体現する学校行事。生徒が主体的に運営し、大きく成長する

授業や探究学習、フィールドワーク、クラブ活動など…。多忙を極める昨今の中高生だが、学校生活で得られる多様な体験が一人ひとりの成長につながっていることは間違いない。教育の一環として行われている学校行事も、生徒の成長を後押しする取り組みの一つだ。浅野中学校・高等学校では、生徒たちが主体的に行事運営に携わっているという。同校の学校行事について、生徒会顧問部長の大塚剛志先生、体育祭顧問の齋藤琢斗先生、文化祭顧問の相川充弘先生に話を聞いた。


浅野には、文化祭や体育祭、中学スポーツ大会などの学校行事を生徒たちが主体的に運営する体制がある。行事を統括する生徒会の主要メンバーは生徒会長1人、副会長が中学・高校の各1人、会計1人、書記2人の計6人。彼らを中心に、各行事の実行委員会、予算委員会、選挙管理委員会、ローレル編集委員会などに所属する生徒たちが、学校行事の企画・運営や広報誌「ローレル」の発行、予算管理などに従事する。生徒会活動について、生徒会顧問部長の大塚剛志先生がこう話す。

「本校の生徒は仕事を任せられると一生懸命に頑張る子たちばかりです。一人でできることは限られますが、役割を分担しながら一緒に行事をつくりあげていくことで、生徒たちは達成感を得ながら、大きく成長しています」

本格的な選挙活動で選ばれる生徒会

生徒会の役員は、立候補者が公約を掲げ、討論会や立会演説会などの選挙運動を経て、全校投票で選出される。投票では本物の投票箱と記帳台が使われるなど、実際の選挙に近い形で実施されていることも、同校の特色だ。

「ここ数年、生徒会長などに立候補する生徒が増えています。大変な仕事にあえて挑んでいこうという中高生らしい若いエネルギーを感じます。学校を良くするために積極的に活動する彼らを、顧問部会の教員は裏方としてサポートしています」(大塚先生)

2025年から導入されたポロシャツも、生徒会の発案だ。導入の賛否を問うアンケートや、業者・サンプル生地の選定、試作品の着心地や速乾性の調査、ロゴ作成、最終決定のための全校投票など、一つひとつを生徒会主導で行い、実現した。

生徒会の雰囲気は年によって異なるようだが、今年の生徒会は広報紙を月1回発行するなど、これまで以上に意欲的な生徒が集まった。美化活動への意識を高めるために、ごみのポイ捨てや仕出し弁当箱の放置問題についての注意喚起ポスターを掲示する取り組みも実施。明確にその効果が表れているという。貸し傘制度も導入され、今年5月から運用されている。

生徒会顧問部長|大塚 剛志先生

伝統に縛られない校風を体現する体育祭

浅野の体育祭はコロナ禍以降、中学と高校で分かれて実施している。今年春に開催された体育祭には中学生86人、高校生93人の実行委員が集まり、審判や用具、ライン、記録、放送などの部門に分かれて活動。文化祭実行委員と兼務している生徒も多いようだ。体育祭顧問の齋藤琢斗先生がこう話す。

「中高合同で体育祭を行っていたとき、中学生は運営責任者である高2の指示に従うだけという雰囲気がありましたが、中学だけの体育祭になり、中3が責任を持って運営するようになりました。また、高校の体育祭では、実行委員がさまざまなアイディアを出すので、種目が変わることも多いです。顧問部会として承認しづらい内容もありますが、めげずに改善案を出すなど、より良い内容にしようと奮闘しています」

体育祭というと綱引きや騎馬戦、リレーなどの種目が一般的だが、浅野では高校に球技種目のスポーツ大会がないこともあり、24年と25年の高校体育祭では午前に球技種目、午後に恒例の種目を実施。今年は一体感と高い満足感を得られるように、全学年対象の綱引きを導入した。球技種目は実施しなかったが、球技をやりたい生徒に配慮して、グラウンドでの6面ドッジボールを取り入れた。齋藤先生が言う。

「浅野には伝統に縛られすぎない校風がありますが、体育祭も同じで、その年に合わせて改善しながら、最適な行事を運営していこうという意識が強い。真面目で一生懸命な生徒が多く、多少失敗することはあっても、最終的に行事を成功させてくれるので、生徒たちを信頼して任せています」

体育祭顧問|齋藤 琢斗先生

工夫を重ねながら、全力で駆け抜ける文化祭

秋開催の文化祭は約1万6千人以上の来場者数を誇る一大イベントだ。行事運営に携わる最高学年の高2は、半数以上が実行委員として関わっているという。文化祭顧問の相川充弘先生が言う。

「生徒会や各行事の実行委員になる生徒は学校が大好きで、もっと良くしていきたいという思いが強い。中1から文化祭実行委員を続けている生徒も多く、先輩たちの姿を間近で見ながら、自分たちの代でやりたいことを考えるなど、文化祭への思いを高めています」

今年、9月12日(土)・13日(日)に開催される文化祭のスローガンは「箒星」。箒星が夜空に現れるのは一瞬だが、実は長い間、太陽の周囲を軌道運動している。太陽に近づいたときだけ輝く箒星に自分たちを重ね、表舞台で輝く一瞬の時間に向けて多くの時間とエネルギーを注いでいこうという意志が表れている。

5学年で計421人の実行委員が催物やアリーナ、食品、広報、屋台、案内、資材、装飾など計13部門に分かれ、当日に向けて準備を進めている。今年は、来場者が多彩なコンテンツを楽しみながら、快適に過ごせるようにと工夫を凝らしているという。導入予定の混雑マップもその一つ。一目で混雑状況が分かるため、行列を回避しながら校内を見学できるようになる。座って休息できる休憩所も設置予定だ。次に見学する場所を考えやすいように、休憩所には各教室に誘導するチラシも貼るという。

「行事運営は、うまくいくことばかりではありません。思うようにいかずにくじけそうになることもあると思いますが、いろんな人たちに助けられながら、困難を乗り越えています。行事が終わると、周りに感謝する言葉が生徒から自然と出てくるのが、とてもうれしいです」と相川先生。

文化祭が終わると、高2は頭を切り替えて、次のステップへ。大学受験に向けて、顔つきもがらりと変わるという。

最後に、教員の役割について、大塚先生がこう話す。「生徒会は単年度の活動で、昔のことを知らない生徒も多いので、生徒の主体的な活動をサポートしつつ、伝統を受け継いでいくのが、顧問部会の役割だと感じています。今年、広報紙にマスコットキャラクターを掲載したいという話が持ち上がったとき、16年度の生徒会が作ったマスコットキャラクター『みゃーさん(my asano)』を思い出し、提案しました。過去にこういうことがあったよと生徒に伝えながら、浅野らしさを未来につないでいきたいと思います」

文化祭顧問|相川 充弘先生

取材日:2026.7.13