「体験型高大連携教育」をいち早く実践
実体験を通してキャリア観を育成する

日本大学櫻丘高等学校

グローバル化が進んだ現代社会において、「グローバルマインド」と「グローバルコミュニケーション」という素養・能力を養うため、「櫻イノベーション」をスローガンに学校改革を行ってきた日本大学櫻丘高等学校。5つのイノベーションを掲げ、教員と生徒自身の変革を起こしてきた。セカンドステージを経て、現在、力を入れているのは「体験型高大連携教育」だ。日本大学のスケールメリットを活用した高大連携教育について、広報部主任の石原裕介先生に話を聞いた。


体験型高大連携教育のメインとなるのは、「科目等履修制度」だ。これは、日本大学指定の講座を大学生と一緒に講義を受けられる制度だ。日本大学文理学部に隣接しているメリットが最大限生かされている。放課後を利用して受講でき、要件を満たせば、大学入学後に単位として認定される。ジェンダー論、心理学、ゲノム改変など、文理学部の文系・理系にわたる多様な分野の授業を選択できる。文理学部以外にも、法・商・経済学部などの授業が選択可能だ。今年度は約30人が参加している。一部の学部ではオンデマンド形式で授業を受講することもできる。

石原先生がこう話す。「日本大学は16学部86学科を設置しており、あらゆる進路をカバーしているのが強みです。都内の日本大学の付属校の中で、大学に隣接しているのは本校だけ。そのため、さまざまなメリットがあります。『科目等履修制度』は大学の学びを先取りでき、進路選択に役立っています。実際、文理学部に少し興味があったぐらいの生徒が、この講座を受講した結果、文理学部に進学を決めた例があります。反対に、受講後に進路を変更した生徒もおり、入学後のミスマッチを防ぐ効果があります」

このほか、希望者が「RINGS」との探究活動に参加できる取り組みがある。これは、日本大学文理学部次世代社会研究センターRINGSと共同した、産官学の連携による探究活動だ。「社会問題を身近な問題として実感すること」「新たな出会いの場や考え方に触れること」を通して、学力だけにとどまらないさまざまな力を育成している。

RINGSでは、提示されたテーマに沿って、メンバーのサポートを受けながら、研究と調査を実施し、プログラムの最後に発表を行う。これまで、ソフトバンク、電気事業連合会、愛知県豊田市などの有名企業や行政との活動実績がある。例えば「カーボンニュートラルを実現させるにはどうしたら良いか」などの社会課題に、社会人、大学生とともに取り組み、視野を広げている。

広報部主任|石原 裕介 先生

石原先生が次のように話す。「例年、テーマはRINGSのチームが決めますが、生徒の希望に合わせてフレキシブルに対応してくれました。今年は少人数だったということもあり、『スポーツ選手を誹謗中傷から守る』というテーマで、ほぼマンツーマンで指導してもらっています。この生徒は大学生と接することで刺激を受け、多面的にものごとをとらえる力が身につきました。その結果、ほかの活動にも積極的にチャレンジしています」

RINGSでの経験は、大学入試の総合型選抜において、高校時代の活動実績としてアピールすることもできる。さらに、プレゼンテーション能力などのスキルが身につき、大学進学後に授業で生かすことができたりと、プラスアルファの効果も期待できる。

また、1年次に「キャンパスツアー」があり、大学生の案内のもと、日本大学の施設を見学するプログラムもある。希望に応じて、文理学部の理系学科をはじめとする理系学部の研究室も見学できる。さらに、定期試験前に大学のラーニングコモンズにおいて、文理学部の教員志望の学生が勉強を教えてくれる「放課後学習チューター」も行われている。

高大連携は、学習面だけにとどまらない。石原先生が説明する。「文理学部の食堂や図書館、広い自習スペース、陸上グラウンドなど充実した施設を日常的に使用することができます。大学の授業を履修でき、大学生活と高校生活を半分ずつ過ごせるのは、本校の特権です。早期から大学を身近に感じながら、大学進学を見据えることができます。受験生にも広く認知されてほしいですね」

一人ひとりに寄り添ったグローバル教育

グローバル教育においては、生徒一人ひとりの適性をとらえた教育を展開し、グローバルマインドとコミュニケーション能力を育成している。

1・2年次では、週1時間、ネイティブ講師による英会話の授業を実施している。クラスを分割し、少人数制のきめ細かい指導により、4技能を伸ばす。また、校内で英検を受検することができ、毎年1・2年生全員が受検する。

海外研修は、生徒一人ひとりの目的やレベルに合わせた現地学習プログラムを設定している。ニュージーランドへの長期留学(1年間)・中期留学(3カ月間)、英国語学研修(2週間)を用意している。

「中期留学と長期留学は単位認定型で、留学中の単位は本校の単位として認定されます。中期留学は3カ月という期間もちょうどよく、人気が高まっています。7月半ばから10月までのため、半分が夏休みで授業もそれほど遅れをとりません。ホームステイをしながら現地の高校に通って語学力と異文化理解を深め、自信をつけて帰国します。参加した生徒からは『英語に対する勉強意欲がますます湧いた』『英検をもっと頑張ろうと思う』など、勉強に前向きになった感想が多く聞かれます」(石原先生)

このほか、放課後には、希望者対象の英会話サロン「SAKURA cafe」を開催している。出身地が異なる5人のネイティブ講師が交代で担当する。ゲームなどを楽しみながら語学力を伸ばせる機会として、参加者が増えている。

最後に、石原先生が受験生にメッセージを送る。「本校は、留学や語学研修、高大連携プログラムなど、チャレンジできることが多い学校です。やりたいことがある人は、さらに自分の可能性を伸ばすことができます。付属校の利点として、勉強・部活にバランスよく取り組むことができます。単に『付属校だから』という理由で入学した人でも、空いた時間を有効に活用し、いろいろなことにチャレンジしています。自分の可能性をもっと広げたい人に、ぜひ入学してほしいと思います」

取材日:2026.8.16