世界市民力を育て、社会をより良い方向へと導く
人材を育てるMEDICOの学びとは

サレジアン国際学園世田谷中学高等学校

中高一貫のきめ細かな指導体制で主体的に学ぶ姿勢を養い社会に貢献できる人材を育てる

共学化・校名変更して4年目を迎えたサレジアン国際学園世田谷中学高等学校。PBL授業や思考型授業など、21世紀に活躍する力「世界市民力」を育てる先進的な教育を実現している。2027年度より、既存の本科クラスとインターナショナルクラスを、EDGEクラスとVISTAクラスに変更予定。これに先立ち、今年から中2の本科クラスにMEDICOの教育プログラムがスタートした。どんな教育を行っているのか。理科主任でMEDICO推進部部長の田中赳裕先生に話を聞いた。


―MEDICO設立の背景についてお聞かせください。

田中 現代社会は加速度的に変化しています。社会の不確実性などを表現したVUCAが、人間を中心に据えたBANIのフレームに置き換えられつつあるなか、サイエンスやテクノロジーの発展から、それを運用する人間へと再度焦点が移りかわってきています。社会の主体はあくまで人。人をはじめとする生命全体への理解や、社会が動くことによって生じるデータの数々を適切に捉え、運用できる人材の育成をMEDICOでは掲げています。

本校は、教育目標の「21世紀に活躍できる世界市民力の育成」のもと、先進的な教育を実践しています。急激に変化する社会に対応し、21世紀社会の一翼を担う人材を育てていくために、今年度本科から派生したMEDICOクラスを導入しました。同クラスでは、医学やサイエンス、データサイエンスの資質能力を共通のリテラシーとして磨いています。

中2からのMEDICOクラスを希望する受験生向けの入試を行っていますが、この入試で入学した生徒以外にも、中2進級時に同クラスを希望する生徒が数多くいました。その中から所定の条件を満たした生徒を加え、1期生は28人でスタートしました。

―どんな教育を行っていますか?

田中 医学やサイエンス、データサイエンスに特化したカリキュラムを編成し、中2から理科と数学の取り出し授業を行っています。カリキュラムの特徴は、中2と中3で履修する内容を性質や本質的なつながりから再解釈し、単元を横断するように再編したことです。

例えば、中2の理科は化学反応からスタートしますが、中2物理の電流や中3の範囲であるイオンとも関連があるので、中2の1学期は、これらの内容をつなぎ合わせて授業を行いました。関連性が高い内容を一緒に学ぶことで、どう関係しているのかを可視化できますし、全体を俯瞰するような科学観も身に付きやすいです。

もう一つの特徴が、探究型の学びを中心に、生徒同士のグループワークやプレゼンテーションなどを積極的に取り入れている点です。生徒自身が学び取ったものを自ら組み直して、アウトプットすることで、知識を定着させて、真の理解へとつなげています。

理科の授業では、自分で考えた仮説や条件制御について、他の生徒に伝えるグループワークなどの機会を多く設å定したほか、生徒が考えて導き出した結論を他の生徒や教員にプレゼンテーションし、理解を深めていきました。教員側も生徒のプレゼンにしっかりフィードバックすることで、生徒が新しい視点を得られるように伴走しています。

数学も学習内容を再編しています。定義を論証する活動などを取り入れながら、高い数学リテラシーを磨いています。

―MEDICOクラス1期生の様子はいかがでしょうか?

田中 自ら学ぼうとする意欲的な姿勢がみられます。1学期の理科では、横断的なものの見方を身につけるために、学問ジャンルが異なる4本の論文を読み、問いやテーマを自分で設定するプロジェクトに取り組みました。生徒たちは、論文の内容を理解し、自らプロジェクトを設計して実験を進めながら、自分の考えを相手に伝えることに挑戦していました。中1から全教科で実施している問題解決型のPBL授業や思考重視型のカリキュラムも、MEDICOクラスの学びに生かされていると感じています。

また、理科では「数字で語ること」も重視しています。小中学校の理科は、色や形の変化などに着目する定性性をみる実験が多く、「どう変わったのか?」といった報告になりがちです。定性性を確認しながらも、MEDICOクラスでは数字で表現する定量性を意識してほしいと伝えています。「何%変わったのか?」「その差は何を意味しているのか?」など、理科教員が2人体制で指摘することで、1学期が終わる頃には、数字に対して非常に気を配るようになりました。子ども扱いせず、厳しいフィードバックをすることもありますが、生徒たちはへこたれずに、さらなる高みに向かって学びを進めています。

田中 赳裕先生

―MEDICOクラスで、どんな力を身につけてほしいですか。

田中 これからの社会で活躍するためには、プロンプトを適切に設計しながらAIと付き合っていくこと、進歩する科学に対して向き合っていく素養を兼ね備えていることが大前提になります。こういった力を身につけられるMEDICOクラスは先端機器や先端研究に触れる機会が多く、大学の学びにも直結しているので、医学やサイエンス、データサイエンスの分野に進みたい生徒にとっては、大きなアドバンテージになると思います。

文系と理系の境界がなくなりつつある現在、それ以外の進路を目指す生徒にとっても、多様な分野で求められる力を磨くことができます。理系人材と協働できる人材として、サイエンスやデータサイエンスの素養を生かして力を発揮してほしいです。

―受験生や保護者に向けて、メッセージをお願いします。

田中 MEDICOは、本校の学びである思考型の授業や探究型の授業を踏襲しつつ、細分化された知識を社会課題のような複雑系や先端研究から体系化して、自らの知とするプロジェクトです。

受験生のみなさんは、社会の変化にその都度対応するだけではなく、自分の選択によって社会を良い方向へと推し進めていくことができる可能性を秘めた存在です。ぜひ、本校の学びでそんな未来を創っていきましょう。

取材日:2026.7.27