中高の6年間で生徒を伸ばし、
一人ひとりの進路を実現させる教育

聖徳学園中学・高等学校

STEAM教育で新たな価値を創造する教育

生徒一人ひとりをきめ細かく指導し、大学合格実績を伸ばしている聖徳学園。ICT教育やSTEAM(Science・Technology・Engineering・Art・Mathematics)教育に力を入れている。『週刊東洋経済』の特集記事、中学入学時の偏差値と卒業時の合格実績を比較した「学力伸長度ランキング」では全国第1位に選ばれた。生徒を伸ばす取り組みについて、進路指導部長の大岡文夫教諭に話を聞いた。


大学進学に向けた実力をつける

高1から実施している「進学セミナー」は、手作りのテキストを用いて生徒に柔軟に対応する独自の進学講座だ。40年近くの歴史を持ち、40〜50の講座がある。通常の講座は1年間を単位としているが、長期休暇中に集中講座も開講している。苦手分野の克服や、得意分野をさらに伸ばすことを目標として、科目を自由に選択することができる。教材を持って自分で勉強し、わからないところを教員に尋ねるという「寺子屋方式」のセミナーを一部では実施している。自分のペースで勉強を進めることができると生徒にも好評だ。大岡文夫教諭がこう話す。

「進学セミナーは自学自習のスキルを身につけることが目的です。予備校のように、授業をシャワーのように浴びて力をつけるものではありません。普段から一斉授業ではなく、アクティブラーニングを通して主体的に学べるよう心掛けていますが、進学セミナーにおいては生徒のさらなる自学自習のスキルアップを図っています」

一方、教員の研修にも意欲的だ。高校の難関国公立大選抜クラス設置に合わせ、東大入試研究会を立ち上げた。夏休みに全教員が集合し、東京大学をはじめとした大学入試問題を検討する機会を設けている。研究の成果を授業にフィードバックすることで、より高いレベルでの受験指導を行うことが可能になった。

この他、卒業生によるサポートも手厚い。友だちと相談しながら勉強できるスペースのラーニングコモンズには、主として教育関係の仕事を目指す卒業生チューターが放課後に常駐している。学習や進路に関して生徒に近い視点で相談にのる。加えて、高1と高2を対象に「卒業生から学ぶ会」を開催している。高1では勉強と課外活動の両立について、高2では大学受験に向けた意識作りについて、卒業生が経験に基づいた話を行う。

「高1ではキャリアガイダンスの入り口として6月に行っています。2年次の文理選択のアドバイスや、オープンキャンパスに行く重要性などについて話してもらいます。学問を選択することは大学を決めることであり、将来を決めることにもつながります。オープンキャンパスに行って実際に模擬講義を受けてみるなど、自分で行動する生徒を育てることがねらいです」(大岡教諭)

聖徳学園では中学の段階から生徒がさまざまな体験をする。机の前に座って勉強することがすべてではなく、外に出ていくことが重要だと考えるからだ。中1の新潟農家民泊や田植え体験に始まり、中2の関西研修旅行や中3の国際研修旅行など活動は多彩だ。

こうした取り組みの根底にあるのは、主体的に考えて行動することの大切さだ。

「いきなり自ら学ぶことはできません。主体的な学びを作るためには、まず自分に自信を持つ必要があります。本校はそれを中学の3年間で培う学校です。意欲ある学校生活が送れるように、中学の間は楽しく学問に取り組めることを意識しています。多様な体験は生徒が自信をつける第一歩になり、自分の生きる場所、自分の特技が生かされる場所が育てられます。そのようにして備わった自己肯定感は、高校進学後の進路学習が開花するきっかけになります」(大岡教諭)

「受け身の学習」を卒業し、「自学自習」へ導く

自学自習を形成する手助けとなっているのがICTを使ったアクティブラーニングだ。高校では授業中のやり取りをiPadで行い、それらを電子黒板に投影してクラスで意見を共有する。中学ではロイロノート、高校ではMetaMoJi ClassRoomというアプリを使って授業を展開している。教材はiPadに配信し、板書もiPad上のノートに記録していく。スケジュール管理や活動内容の記録など、クラブ活動や行事にもICTを活用している。

さらに、学校の近くにある杏林大学、亜細亜大学と高大連携協定を結び、生徒に幅広く学ぶ機会を提供している。中学でも校内で企業の講演会を開催したりインターンシップを実施したりするなど、学外の活動が豊富だ。

「学校の外で実際に体験することに意味があります。そこで学んだことは自己肯定感につながります。また、勝手にやりなさいと放任するのではなく、どうやって勉強するのか、どういった学びをしていくのかということを、授業や進学セミナーでしっかり教えます。勉強の振り返りや模試の考察なども含めて自己分析をさせます。そうしたPDCAサイクルができて初めて自学自習が完結します。自学自習のためのPDCAサイクルを教えるのが我々教員の役目です」(大岡教諭)

他にも自習室を複数設置し、高3生専用の部屋も用意するなど、自学自習に適した環境を整えている。最後に、大岡教諭がこう話す。

「本校は少人数の学校ならではの、生徒を伸ばす仕掛けがたくさんあります。“ほんわかした”雰囲気で中学時代を過ごせるのが特徴です。一人ひとりが長所を生かせる場を数多く用意しています。今後の大学入試は個別的な入試に変わっていきますが、生徒をしっかり見つめていればその子に合ったアドバイスができると考えています」

取材日:2019.9.17