培った伝統と、時代の変化に対応した新たな教育により、
世界で輝く自律した「KASEI WOMEN」を育成

東京家政大学附属女子中学校・高等学校

東京家政大学附属女子中学校・高等学校は、今年で創立139年を迎えた伝統校だ。建学の精神「自主自律」と生活信条「愛情・勤勉・聡明」を教育理念としている。人間力に加えて知性と品性を備え、社会で活躍できる心豊かな自律した女性の育成を目指している。


中高の6年間を成長に合わせた3つのステージに分けて学習

カリキュラムは中高の6年間を3つに分けた3ステージ制を採用している。中学1年を第1ステージ、中学2年から高校1年までを第2ステージ、高校2年から高校3年までを第3ステージとし、英語力強化の中高一貫教育を実施。昨年度から入学時のクラス編成を変更し、難関大学進学を目指す特進(E)CLASSと、東京家政大学への内部進学や他大学への外部進学を目指す進学(i)CLASSを設置した。より生徒の進路希望が実現できる指導体制になった。

また、学びの特徴の一つが探究学習だ。SDGs(持続可能な開発目標)に代表されるような地球的規模の大きな課題にも取り組み、自ら問いを立て分析し、解決する課題解決能力を身につけるために実施していく。

もう一つの特徴は英語プレゼン力の育成だ。今年度から新たに中1から高2までを対象とした「英語プレゼン力育成講座」を開講する。篠澤文雄校長がこう話す。

「これまで中2と高1のみで行っていた宿泊型の『イングリッシュキャンプ』を発展させたものです。1日5時間の集中講座を3日間から4日間の日程で、外部機関を導入して実施します。課題設定から発表まで、授業はすべて英語で行います。アウトプットする力を身につけるのが目的です」

国際バカロレア中等教育プログラム(MYP)の候補校に認定

英語教育に力を入れており、外国人の英語指導助手であるALTは5人在籍している。ALTと日本人教員のティームティーチングのほか、外部英語検定試験対策や英語での教科指導「イマージョン」など一部で取り入れてる。

英語力を重視した教育を行う中、IB(国際バカロレア)教育に注目し、昨年10月に中等教育プログラム(MYP)の候補校に認定された。MYPは中学1年から高校1年までの4年間、全員が取り組むプログラムだ。

「IB教育の基本である探究学習は、国の教育改革や本校が重視する教育と一致します。これまで培ってきた伝統に加え、時代や社会の変化に合わせた授業改革を行うのが目的です」(篠澤校長)

また、ディプロマ・プログラム(DP)に向けた準備も今後始まる予定だ。高校2年からDPで所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)を取得することができる。

主体的に取り組む充実した課外活動

一方、部活動や委員会活動など、課外活動への取り組みも盛んだ。高校のドリルチーム部はチアダンスの全国大会で優勝経験がある。今まで高校のみの活動だったが、今年度は中学にも創設された。文化部も家政ならではの食物研究部をはじめ、とても盛んである。同部の創作クッキーは好評だ。

このほか、他校にはないビオトープ委員会は、広大な校地の一画に作られたビオトープの管理と調査が主な活動だ。生徒が植物や生き物の生態を調査し、研究を行っている。毎回、全国学校・園庭ビオトープコンクールで表彰されるほどの活動ぶりで、昨年は「日本生態系協会賞」を受賞した。

独自の進学指導やキャリア教育で生徒の希望進路を実現

大学進学については、東京家政大学への内部進学と他大学への進学保証を方針とし、近年は早大・慶應大、上智大、GMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)などの難関大学への進学を目指す生徒が増えている。今年度は予備校と連携し、希望者対象の特別講習を週2回実施していく。また、生徒の自学自習力をつけるため、中高に自習室を設置し、20時(中学18時)まで勉強することが可能だ。

独自のキャリア教育「ヴァンサンカン・プラン」は、自らの理想の「25歳」を実現するためのプログラムだ。目指す将来像に向かって学びを進めていく取り組みだ。

「本校は、21世紀の未来社会で活躍する人材を育成するために、今後も生徒の可能性を伸ばす教育を実施していきます」(篠澤校長)

取材日:2020.4.30