2コース制がスタート。充実の探究教育で、
社会に貢献する人材を育成

二松学舎大学附属柏中学校・高等学校

人間力の向上と学力の向上を教育の2本柱に、地域や社会に貢献する有為な人材を数多く輩出してきた二松学舎大学附属柏中学校・高等学校。今年から中学が2コース制に再編され、新たなスタートを切った。その教育について、副校長の島田達彦先生と中学校学年主任の森寿直先生に話を聞いた。


中学校創立から12年目を迎えた今年、グローバル探究コースと総合探究コースの2コース制がスタートした。中学校学年主任の森寿直先生がこう説明する。

「12年前の一期生から実施してきたプログラムを見直して、2コース制を導入しました。ただ、コースの垣根は低くなっています。土曜日の総合学習の時間では、所属コースは関係なく一緒に取り組むなど、1学年84人が切磋琢磨し、協力し合いながら学校生活を送っています」

総合探究コースは、基本的な学力や学習習慣をしっかり身につけていくコース。グローバル探究コースはより発展的な学習内容とグローバルな学びをプラスしたコースだ。通常のカリキュラムはほとんど同じだが、グローバル探究コースには真の国際人を養成する「NISHO GLOBAL PROJECT」の四つのプログラムが加わる。このうち、メインとなるのが週2回、7時間目の授業で行うプレゼンテーションプログラムだ。プレゼンテーションや調べ学習が中心のプログラムで、3年間SDGsを軸に学習し、世界の現状を理解する。あえて日本語で授業を行うことで、母国語で正しく理解し、相手に論理的に伝える力を養っていく。

他の三つのプログラムは、学校の中だけでは育めない力を養うプログラムだ。

島田 達彦 先生

スペシャルラーニングプログラムは、学校外での活動が中心だ。中1のJICA訪問や、中2の東京グローバルゲートウェイでの体験を通して新たな視点を養う。中2・3で実施される海外研修に必要な英語力を磨く機会にもなっている。

パワーアップイングリッシュプログラムは、夏期・冬期の休暇前後、3日間で行われる英語の集中講座だ。ネイティブ教員とのオールイングリッシュプログラムで他国の文化について学ぶ。

スタディアブロードプログラムでは、国内・海外研修を取り入れている。中1では福島・ブリティッシュヒルズで異文化生活を体験。中2・3のオーストラリア研修では、海外の文化に身を置き、海外の生徒と触れ合いながら、国際理解を深めていく。

伝統の論語教育と、自問自答の習慣を磨く探究学習

所属コースに関わらず、すべての生徒が学ぶのが、論語教育と探究学習だ。

二松学舎の創立以来、受け継がれてきた論語教育は、論語の三徳「知・仁・勇」の教えをもとにした、同校の人間教育の原点になるものだ。"知”は、自分が行動したことで、得られる知識のこと。"仁”は人に対して思いやりを持つということ"勇”は、勇気を振り絞って前に進んでいくチャレンジ精神のこと。この三つがすべての学校生活の土台になっている。独自のテキストを使って素読・暗唱を繰り返しながら、論語の精神を身につけ、豊かなこころや思いやりを育んでいる。

一方、高校では今年から新学習指導要領に基づく教育がスタートした。そこで重視されているのが探究学習だ。同校では以前から探究学習に力を入れているという。島田達彦先生がこう話す。

「AIの発達により、これまで人間が行ってきた多くの仕事をAIが担うようになるといわれています。そういう社会では、人間が持つコミュニケーション力や創造力がさらに重要になっていくでしょう。これらの力を培う本校の探究学習は、二松学舎の創設者の理念や建学の精神を実現する取り組みでもあります」

森 寿直 先生

探究学習のうち、同校の特色が最も表れているのが自問自答プログラムだ。中学3年間、毎日三紙の新聞コラムを読む取り組みや、毎月テーマを決めて行う1分間スピーチ、勉強する内容を自分で考えて取り組む365ノートなど、様々なプログラムがある。

「例えば、新聞三紙のコラムを読む取り組みでは、今、社会でどんなことが起きているのかを知るきっかけになります。新聞の内容が家族との共通の話題にもなり、家族とコミュニケーションをとるきっかけにもなっているようです」(森先生)

学校外での体験教室の機会が多いことも、自問自答力をつける一助となっている。自然あふれる立地を生かして、中1では近くにある手賀沼の環境と歴史を学ぶフィールドワークや田植え・稲刈りを体験する。

自問自答力を養う同校の教育は、大学入試で増加している学校推薦型や総合型選抜に必要な力を身につける上でも大きなメリットだろう。これらの入試にチャレンジする生徒も増えているという。

最後に、今後の展望について島田先生がこう話す。

「これからは校内で学ぶだけに留まらず、いろんな形で校外に出ていく機会が増えていくと思います。そういう開かれた学校の実現に向けて、先陣を切っていくのがグローバル探究コースの生徒たちです。学内外の多彩な取り組みを通して、自らの意志で新しい変化を創り出せる人間になってほしいです」

取材日:2022.9.9