新たなステージを目指して
学校改革が進行中

昭和学院秀英中学校・高等学校

「質の高い授業」「きめ細やかな進路指導」「豊かな心の育成」を柱に、真の学力を身につける教育を実践している昭和学院秀英中学校・高等学校。今年9月、都立桜修館中等教育学校や日比谷高等学校、東洋大学京北中学高等学校で改革を進めてきた石坂康倫氏が新校長に就任した。石坂新校長が進める学校改革とは。


―様々な学校で校長職を経験されています。

石坂 桜修館、日比谷、東洋大京北では、新しい学校づくりに力を注いできました。これまでの経験から得たことを、昭和学院秀英に合う形で生かしていきたいと考えています。

就任して1カ月経ちましたが、多くの教員と接する中で、少しずつ課題も見えてきました。本校には若手教員が多いのですが、彼らの話を聞き、もっと意欲を持って取り組みたいと考えていることがよくわかりました。まずは彼らの力を存分に発揮できる学校にしたいと考えています。本校の立ち上げに携わったベテランの先生方もいらっしゃるので、アドバイスをいただきながら、改革を進めていきたいと思います。

―秀英の生徒の印象はいかがですか。

石坂 素直で品があり、落ち着いている印象を受けます。非常に可能性を感じる生徒ばかりです。今年、3年ぶりに文化祭を実施しましたが、先輩・後輩の仲が良く、互いに感謝しながら、一丸となって活動していました。

学力においても、優秀な生徒がたくさんいます。ただ、公立などの第一志望校が残念な結果だったので、本校に入学した生徒も少なくありません。そういう生徒は、自信がないように見えるのが気になります。成績を見ると、十分に優秀なのですが…。もっと自信をもってほしいと思います。

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石坂 康倫 校長

―どのような改革をしていくのですか。

石坂 まずは校長室を開放して、受験間近の高3生の相談に応じる機会を設けました。すでに10人以上の生徒と話し、様々なアドバイスをしました。

高3生と触れ合う中で感じたことは、秋の段階ですでに受験勉強に疲れてしまっている生徒がいるということです。

本校の場合、文化祭に参加するのは高2までで、高3は参加していません。ですが、高3も9月の文化祭を楽しみ、そこから受験勉強に集中しても、大学受験に間に合うのではないでしょうか。一つのことに全力で取り組んだ経験があると、頭を切り替えやすくなるからです。

それに、学校行事から学べることはたくさんあります。生徒同士が協同しながら文化祭を盛り上げていく体験を経て、受験も団体戦で頑張ろうという気持ちになりやすいと思います。

また、進路についてはチャレンジする姿勢も大切です。例えば、本校では毎年、東大に3〜4人合格していますが、東大を受験している生徒の数はあまり多くありません。今の生徒の学力を考えると、受験する生徒が増えれば、20人合格しても不思議ではありません。そのくらい優秀な生徒が多いということです。

生徒が自信をもつことで、校内はさらに活気付いていくでしょう。そうなれば、全体の学力が底上げされ、大学合格実績はもっと上がっていくと思います。本校を第一志望にする受験生が増えていくことも期待しています。

教員たちも、もっと上を目指せる生徒たちだと気付き始めているようです。今後、研修会などを開催しながら、彼らの意識をさらに高めていきたいと思います。

カリキュラムの見直しも検討しています。現在は、高2から文系、理系に分かれて学んでいますが、3年生になって進路を変更するケースもあります。3年からでも文理を問わず、いろんな学部・学科を目指せるように、カリキュラムを整備していく予定です。

本校のように、校舎が広く、伸び伸びと過ごせる環境は東京の学校にはない魅力です。今年、人工芝を張り替えたので、運動部などは活動しやすくなったと思います。さらに過ごしやすい学校づくりを目指して、新校舎の建設も計画しています。

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―最後に、受験生と保護者に向けてメッセージをください。

石坂 今の日本は一見平和に見えるかもしれませんが、世界でさまざまな問題が生じる中で、日本の影響力はどんどん小さくなっているようです。世界に与える影響が大きい国だと認識されるようになるためには、国力を高める必要があります。そのためには、学校教育で優秀な人材を育成しなければなりません。そこを見失わずに、学校全体のレベルを上げて、志の高い人材を育てていきたいと思います。

本校は、落ち着いた環境があり、安心して通える学校です。秀英に入学してよかったと思えるような成長を成し遂げることができる学校だと私は思います。これまでの経験を踏まえて、先生方と力を合わせて、生徒を盛り立てていきたいと思います。

取材日:2022.9.22