奉仕活動と心の教育で
他者を大切にする普遍的な愛を育む

カリタス女子中学高等学校

奉仕活動と心の教育で他者を大切にする普遍的な愛を育む

カナダのケベック・カリタス修道女会を母体に創立されたカリタス女子中学高等学校。英語とフランス語の複数言語教育に定評がある学校だ。カトリックの価値観に基づいた授業や奉仕活動を通して「普遍的な愛を持って人に尽くす」人間の育成に取り組んでいる。同校の教育について、副校長の白砂孝子先生と、奉仕活動や「i‐Time」の探究活動をサポートしている森匡史先生に話を聞いた。


―カリタス女子中学高等学校のカトリック精神に基づいた人間教育について教えてください。

白砂 カリタスとは、ラテン語で「愛」を意味する言葉です。本校の母体となったカリタス修道女会の創設者であるマルグリット・デュービルは、愛の奉仕活動に生涯を捧げた人で、本校の人間教育は創設者の思いを受け継いでいます。自分のことだけでなく、他者のことを考えてこそ、本当に幸せな人生を送ることができるという考えのもと、「普遍的な愛を持って人に尽くす人間」の育成を目標にしています。教育理念にも「奉仕する心」を掲げており、全校を挙げて奉仕活動に取り組んでいます。

毎週木曜日の放課後は、原則、宗教・奉仕活動の日にしています。中1は全員、奉仕活動を行う「アンジェラスの会」に所属。中2以降は希望制になり、中1から高2の生徒が活動しています。アンジェラスの会では、「祈る・学ぶ・働く」の三本柱のもとで、180人を超える生徒が、近隣訪問、海外支援、被災地支援、マルグリット祭(文化祭)バザー、校内行事・国内支援の5つのグループに分かれて活動しています。生徒が主体的に運営しながら、奉仕する心を養っています。

活動内容は多岐に渡ります。例えば、近隣訪問グループでは、高齢者施設への訪問や、福祉施設で作ったお菓子を文化祭で販売し、売り上げを寄付する活動を中心に取り組んでいます。また、海外支援グループでは、バングラデシュでの教育里親活動や、アフガニスタンの井戸を維持するための募金活動など、貧困や紛争などによって助けが必要な人々を支援しています。

白砂 孝子 先生

森 中2以降は、有志の生徒が立ち上げたグループで活動する生徒もいます。「プティ・パ・ドゥ・カリタス」では、2013年から、東日本大震災で風評被害を受けた福島の農家の支援に取り組んできました。福島県産の野菜や果物などを関東で販売するお手伝いや、福祉施設に協力してもらって、福島県産の野菜を使ったジャムなどの商品開発・販売に携わりました。昨年は福島にも視察に行きました。被災地の現状と向き合い、必要な支援について、自分たちで情報を集めて模索しています。

また、環境問題に取り組む団体「メイクザフューチャー」は、浜辺でのごみ拾いのほか、海洋汚染を浄化する資材の原料になる使い捨てカイロの回収に取り組んでいます。

バスケットボール部の有志による「すけっと部」というユニークな団体もあります。通学路の草刈りや、家庭で余った食品を集めて寄付するフードバンク活動を進めています。

―奉仕活動に主体的に取り組む生徒が多いのはどうしてでしょうか。。

森 創立者の精神が土台にあり、「他者のために」という学校文化が出来上がっているからだと思います。それに加えて、普段から様々な社会課題について考える機会がたくさんあるからではないでしょうか。「i-Time」という独自の探究活動では、中1は福祉や人権をテーマに、ポスターの作成・発表に取り組みます。

森 匡史 先生

白砂 i-Timeの一環で取り組んでいるフィリピンのストリートチルドレンへの支援も奉仕活動への意識を高めるきっかけになっています。中1は、クリスマスにストリートチルドレンのために手作りのぬいぐるみポシェットを送る活動をしています。支援団体から現地の状況について聞く機会を設けているのですが、その際にゴミの山で暮らしている子供たちの現状にショックを受けて、意識が変わったと話す生徒もいます。学校から与えられた奉仕活動という義務感から、主体的に何かしたいと、気持ちが変化していくようです。

―御校ならではの心の教育も特色ですね。

白砂 生徒のほとんどは、進学して初めてキリスト教に触れます。キリスト教になじみがない方もいますが、本校では、どんな人にとっても変わらない普遍的な価値を伝えています。奉仕活動や人権教育によって他者を大切にする心を育てるのはもちろんのこと、本校では、毎日の「朝の祈り」が、自分の内面を見つめる時間にもなっています。

毎週水曜日に全校で行われる「朝の会」では、担当の生徒が自分の体験や日々考えていることなどを発表する時間も設けています。発表する生徒は、自分の内面を掘り下げる機会になります。また、聞く方にとっても、他の生徒の考えに耳を傾けることで、新たな気づきを得るなど、内省するきっかけになります。一日の始まりに心を整える良い機会になっています。

―カリタス女子中学高等学校のカトリック精神に基づいた人間教育について教えてください。

森 子どもたちには、自分のことだけでなく、視野を広げて社会の問題に関心を持ってもらいたいです。カリタス女子での学校生活が、自分はどう生きていくのかを考えるきっかけになってもらえたらと思います。

白砂 カリタス女子には一人ひとりを大切にする温かな校風のもと、伸びやかで明るい生徒が多くいます。本校で、自分が愛されているという人間形成の確かな土台を築いてもらいたいと思います。

STUDENT VOICE

Q.Petit pas de Caritasはどんな活動ですか。活動内容を教えてください。

東日本大震災により風評被害に苦しめられている福島県の農家の方々を支援したいと考え、NPO法人福島やさい畑さんの野菜販売のお手伝いをしています。今は震災から10年たった福島にたくさん来てもらうことが課題だということを知り、文化祭などで福島県のお菓子を販売して学校内に福島の魅力を伝えることを頑張っています。

Q.実際に活動した感想を教えてください。

お手伝いに参加していると野菜を買いに来る方と交流をしたり、野菜のおいしい食べ方を教えていただいたり、普段経験できないことをたくさん経験できて楽しいです。学校内でのPetit pas de Caritasの活動を通して実際に福島に興味を持ってもらえて、実を結んでいると感じます。

Q.今回頂いた賞について教えてください。賞をいただいて、どう思いましたか。

さまざまな奉仕活動に対する援助や協力を行っているソロプチミスト日本財団学生ボランティア賞を頂きました。今回受賞したことにより活動資金を頂きました。後輩の活動の幅が広がり福島への支援が続くことを嬉しく思います。

取材日:2026.7.5