マレーシアの伝統工芸作品づくりやLAの企業訪問など"
女子美ならでは〟の2つの海外研修が新たにスタート!

女子美術大学付属高等学校・中学校

女子美術大学付属高等学校・中学校は、日本で唯一の美術大学付属の女子校として、「好き」を伸ばして確かな実技力を身につける美術教育課程と美術教育を基幹とした資質・能力の育成を目指す教育課程、そして美術を通して英語を学ぶアート・イングリッシュを教育方針に据えている。国際交流においても、フランスやイタリアへの海外研修など美術を通して広く世界を学ぶプログラムを実施してきた。今年度からは、中学生を対象にした「マレーシア語学文化研修旅行」と高校生を対象にした「アメリカ ロサンゼルス 美術・企業訪問ツアー」が新たにスタート。新設の背景と研修内容、来年度以降に向けたビジョンなどを佐野佳子先生(英語科)と、並木憲明先生(広報部主任)に伺った。また、参加した生徒からのコメントも併せて紹介する。


〝はじめての海外〟を意識したマレーシア語学文化研修旅行

―今年度から新たに中学生を対象にした海外研修がスタートした背景を教えてください。

佐野 コロナ禍以降、海外で学ぶ機会を設けてほしいという保護者の方からの希望が高まってきたことが大きな理由です。本校では、2019年度から一般的な英語の授業に加え、英語で美術を学ぶ「アート・イングリッシュ」という授業を取り入れ、美術で使われる英語表現を学び、自分の作品を英語で発信する力を養っています。授業で培った英語力を実際に海外で使って、交流することも目的の一つでした。

―訪問先がマレーシアに決まったのはなぜですか?

佐野 初めて海外に行くという生徒も多いことから、時差が少なく、距離的にも近いアジア圏の国を選びました。訪問国の選定や現地でのプログラムは、諸外国の事情に精通した社会科の教員が中心となって考案したもので、語学学習と文化交流がバランスよく組まれています。

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佐野 佳子 先生

―現地でのプログラムの特色を教えてください。

佐野 今回は中学2年生と3年生36名が参加しました。午前中に通う語学学校はクローズドクラスで、本校のためのオリジナルプログラムを用意してもらいました。午後にショッピングセンターに行く日は買い物に必要な会話など、実践的な英語を学びました。教室で学んだ英語を実際に使うことで理解がより深まりましたし、生徒たちは現地の人たちと積極的に英語でコミュニケーションをとっていました。また、バティックという東南アジアの伝統的なろうけつ染め体験やピューターという錫(すず)製品の工場見学など、マレーシアの美術工芸にも触れました。バティック体験では日本とは異なる色彩構成や模様などに刺激を受けながら、生徒それぞれが個性的な作品を作り上げました。体験プログラムの順番にもこだわり、初日に国立博物館で歴史や風土などを学び、マレーシアへの理解を深めてから、観光や買い物、伝統工芸体験に取り組みました。

―今回の研修旅行を通して生徒の成長を感じる場面はありましたか?

佐野 英語科の教員として、生徒たちが現地で想像以上に積極的に英語を使ったコミュニケーションをとっていて驚きました。バティック体験では工房の方に質問をしながら真剣に作品づくり取り組み、最終日の舞踊ショーではその場で覚えた振り付けをみんなで踊るなど、初めて出会う文化を明るく前向きに受け止め、楽しむ姿は素晴らしかったです。帰国後、英語への興味や学ぼうという意識の高まりなど、総じてさまざまな面で生徒の成長を実感しています。

マレーシア語学文化研修旅行 参加者の声

中学2年生 R・M
今まで海外に行ったことがなかったので、高校の海外研修に備えるために参加を決めました。特に印象的なのはバティック体験で、自分の好きなものを描くため夢中で取り組みました。また、習った英語で現地の人たちとコミュニケーションができたことに達成感を感じ、今まで苦手だった人前で話すことも苦にならなくなりました。先輩たちとも仲良くなれましたし、とても楽しかったので、後輩にも研修旅行の参加を勧めたいです。

中学3年生 K・N
英語が苦手なので話せるようになりいと思い参加を決めました。実際に現地に行くと、わからない単語も表情や身振りで伝えることができるとわかり、言葉だけではないコミュニケーションの大切さを実感しました。マレーシアは美術館の作品も現地の人の服装も色づかいがポップで文化のちがいを感じました。伝統工芸作品を作るなどほかではできない体験がたくさんできたので、後輩の皆さんにもぜひ参加してほしいと思います。

プロの仕事を現場学ぶLA美術・企業訪問ツアー

―高校生を対象に、新たに「アメリカ ロサンゼルス 美術・企業訪問ツアー」がスタートした経緯について教えてください。

並木 これまでの「パリ、イル・ド・フランス美術研修旅行」、「イタリア美術研修旅行」では、世界的に有名な現地の美術館を巡り、いわゆる「ファインアート」と呼ばれる絵画や版画、彫刻について学ぶことがプログラム中心になっていました。そこで新たに「デザイン」をメインとした海外研修もぜひ加えたいと考えていたところ、以前からお付き合いのあるデザイナーの方を通して、世界的なデザイン会社であるGKデザインインターナショナル(GKDI)のロサンゼルス支社への訪問に声かけをいただきました。さらに話を進めるうちに、事前に生徒たちが先方から出された課題に沿った作品をつくり、プロのデザイナーに向けて英語でプレゼンテーションを行うことも決定。そのためロサンゼルスの研修旅行は一定の英語力などを条件に参加者を募集しました。

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並木 憲明 先生

―海外のデザイン事務所で、作品のプレゼンを行うというのは、貴校ならではのプログラムですね。

並木 GKDIからの事前課題は「日本の商品をアメリカで販売するためのパッケージ」で、生徒たちは試行錯誤しながら作品をつくり上げ、現地で立派にプレゼンを成し遂げました。プロからの講評を受け、マーケティングに基づく作品づくりなど、普段の授業とはまったく違った視点も学ぶことができたと思います。

―ほかにどのようなプログラムを実施しましたか?

並木 カウンティ美術館など現地の美術館を訪問し、最先端の現代アートに触れたり、大聖堂を見学したり、ワーナー・ブラザーズ・スタジオのツアーにも参加しました。しかし、特別なプログラムが無くても生徒たちにとっては、ロサンゼルスで過ごす一瞬一瞬が刺激に満ちています。道ゆく人のファッションや、スーパーでの日本とは異なる陳列を目にするだけで、多くのことを感じ取り、吸収したのではないでしょうか。

―海外研修の今後の展望について教えてください。

並木 GKDIからの協力が得られ、来年度も引き続き、同様の内容のロサンゼルス海外研修を実施する予定です。現在も十分充実したプログラムではありますが、可能であれば、現地の美術学校と提携して、共同での作品づくりなどのワークショップにも取り組んでみたいですね。

アメリカ ロサンゼルス美術・企業訪問ツアー参加者の声

高校2年生 A・N
もともと海外に興味があったことと、大好きなワーナーブラザーズがあることからアメリカでの研修旅行に参加しました。初めての海外だったので見るものすべてが新鮮で感動し、刺激を受けました。特に印象に残っているのがロスの大規模な街並みです。日本だと少し遠くを眺めれば山や川がありますが、ずっと街が続いていることに日本とのちがいを感じました。私は英語があまり得意ではなく、今まで海外の方とのコミュニケーションにやや苦手意識があったのですが、現地で必要に迫られて英語で話かけるうちに、とにかく伝えたいという気持ちが大切だと気づきました。もっと英語力をつけて、フランスやイタリアの研修旅行にも参加したいと思っています。

取材日:2026.9.13