自ら考え、自ら道を切り開き、自らの責任で行動し、
培った力を他者のために惜しみなく使う人へ
普連土学園中学校・高等学校

日本唯一のキリスト教フレンド派の学校として、140年近い歴史と伝統を持つ普連土学園中学校・高等学校。フレンド派の教えに基づく「自由」「平等」「対話」「平和主義」の4つの教育理念を大切に受け継ぎつつ、独自の海外研修プログラムや大学連携プログラムなど、生徒が多様な価値観と出合う機会を積極的に広げている。2029年度には複合的な教育施設を備えた新校舎が完成し、新たな学びがスタートする予定だ。今回は「普連土学園での成長」をテーマに、校長の青木直人先生と、卒業生の高瀬貴子さん(東京大学2年生)にお話を聞いた。
ー教育の中で大切にしていることを教えてください。
青木 フレンド派の創始者ジョージ・フォックスの"Let Your Lives Speak(あなたの生き方をもって示しなさい)"という教えにあるように、私たちは言葉ではなく、あらゆる権威に縛られない「自由」と神の前での「平等」のもと、粘り強い「対話」で課題を解決し、絶対的な「平和主義」へとつなげていく生き方そのものを大切にしています。ですので、最小限の言葉にするのであれば、「自由」「平等」「対話」「平和主義」が教育理念ですーと、こういう言い方をすると堅く感じられるかもしれませんが、自由でのびのびとした雰囲気の学校です。とりわけ高瀬さんの学年は『アルプスの少女ハイジ』のように元気いっぱいな生徒が揃っていて、印象深いです。
高瀬 個性豊かな人が多く、教室はいつも賑やかで、楽しい学校生活を送れました。中学生の頃は、毎朝の礼拝の時間になってもなかなかおしゃべりが止みませんでしたが、先生方は私たちが自ら気づいて静かになるまで辛抱強く待ってくださいました。そのおかげで、次第に静かに礼拝の始まりを待てるようになりました。「自由」な校風の中で過ごしたからこそ、「自律」の精神が育まれました。
青木 本校では教員と生徒は「対等」ですから、教員が頭ごなしに「〜しなさい」と強制するようなことを極力避けます。そういう環境だからこそ、生徒が自ら考える力が育つのだと思います。また、世界のあちこちで紛争がおき、日本でも自己主張することばかりを教える風潮があるなか、私たちが長年大切にしてきた「対話」と「平和主義」はより一層、重要性を増しています。
高瀬 授業や部活動、委員会活動などでは、よく話し合いをしました。先生方との話し合いでも、生徒同士の話し合いでも、相手の話をしっかり聞き、自分の意見を伝えながら、お互いにどうすればよいのかを考える時間を大切にしていました。
青木 人との対話は一番の勉強です。価値観や考えの異なる相手と対話することで、多くの気づきがあり、自分の世界が広がっていくのです。
周囲の影響を受けながら人間として豊かな成長できる
ー学校生活を通して、成長したと思えることがあれば教えてください。
高瀬 私はもともと人前に出ることが苦手で、新しいことに挑戦するのも好きではない、引っ込み思案な性格でした。しかし、中学2年生の終わり頃、担任の先生から「あなたならできるから、自分の殻を破って外に出よう」と声をかけていただきました。また、友達にも自分がやってみたいことを応援してもらい、少しずつ学園祭や部活動、委員会活動などに挑戦できるようになりました。そのような環境で、普連土の進路プログラムを通じて、女性の装いを手がかりに、日本文化における舶来文化の受容について研究したいと考えるようになりました。学部・学科選びに悩む中、人文社会系の分野を複合的に扱う教養学部教養学科をもつ東京大学に興味を持ちました。東大は自分には遠い存在でしたが、これまでの勉強の積み重ねを生かして挑戦してみたいと思えたこと自体が、成長の証です。
ー先生の目から見て、生徒の成長を実感するのはどんな点ですか?
青木 レポートやディスカッション、プレゼンなどの機会が多いため、論文などを書く力や対話する力、人前で話す力は6年間で見違えるほど伸びます。私自身が生徒と接していて感動するのは、自然と他者を気遣える公平で温かな人間性が養われていることです。例えば、本校は注文制のお弁当があるのですが、中1の生徒が手を滑らせてお弁当の中身を廊下にばらまいてしまった時、通りがかった高校生3人が呆然としている中1の生徒に代わって拾い集めて掃除をし、さらに自分たちのお弁当を少しずつ分けてあげました。ためらうことなくそこまでできる高校生の行動を見て、生徒の成長は私たち大人の想像を軽く超えていくのだと実感しました。また、高瀬さんたちが高2の時、長年地雷撤去活動を支援してきたカンボジアを直接訪ねて、自分たちの献金を届けるための代表選考の説明会を校長室で開いた際のことです。人数が多くて椅子が足りず、椅子のない生徒には床に座ってもらおうとしたのですが、先に来ていた生徒が「じゃあ全員床に座ろう」と言い出して全員が床に座りました。自分だけが得をすることをよしとしない精神性が、自然と発露できることが、本当にすばらしいと思いました。
情報に振り回されず自分で自分の進路を見つける
ー学校としての今後のビジョンを教えてください。
青木 学校説明会ではよく共学化する可能性があるかという質問を受けますが、本校は今後も女子校としての教育を大切にしていきます。部活や委員会活動など学校生活のあらゆる役割を、女子生徒のみでこなすことで、ジェンダーバイアスがかかることのない価値観を育み、進路選択の幅も広がります。科学技術の進歩に伴う新しいツールについては、必要なものは躊躇わずに取り入れていきますが、AIをはじめとする「時代の変化」に戦々恐々とし、振り回されることはありません。技術がどれほど進化し時代が変化しても、キリスト教の歴史を鑑みれば人間の本質は大きくは変わりません。生徒たちには、自ら考え、自ら道を切り開き、自らの責任で行動し、深く学んでいってほしいと思っています。そして、国際的な感覚と異質なものに対する寛容な態度を養い、培った力を他者のために惜しみなく使うことができる誠実で成熟した人間に成長してほしいと願っています。
ー後輩となる受験生へのメッセージをお願いします。
高瀬 普連土学園は、温かな友人や先生方に囲まれながら、自分自身と向き合い、成長できる学校です。私自身、6 年間をここで過ごせたことを本当に良かったと思っています。私は普連土学園を第一志望にしていましたが、他の学校にも積極的に足を運びました。どの学校にもそれぞれの魅力があり、複数の学校を比較することで、学校ごとの特徴や自分に合う環境が見えてくると思います。受験生の皆さんも、ぜひ様々な学校を訪れてみてください。そのうえで普連土学園に魅力を感じていただけたら、卒業生としてこれほど嬉しいことはありません。
取材日:2026.8.25
